スーパーカブのエンジン載せ換えも終え一段落する暇もなく新しいPROJECTが始動する。
今回の素材は「モトコンポ」
歴史上希に見る、粋なホンダの遊びごころの結晶のバイク。
直線を多様したデザイン。角のようなハンドル。オマケのようなシート。とにかくプラスチッキーで、
まるでオモチャのようなこのバイクは、今から30年以上も前、1981年に登場した。
その可愛らしい姿には理由があり、実はこのバイク、ホンダの名車である「シティ」のトランクにすっぽりと収まるトランクバイクなのだ。
遠出や荷物が多い時は車、混雑する市街地やちょっとした買い物にはバイクを活用するというスタイルを、
当時は「6輪エイジ」などと呼び、一種のステイタスにもなっていた。
ホンダはこれを逆手に取り、シティとモトコンポを同時に開発。
車にバイクを手軽に、しかも可愛く積んでしまおうという、今では絶対に考えられないような発想でこのバイクを生み出したのだ。
その最大の魅力はやはりシティに収納しやすいようにコンパクトになること。ハンドルとシートは本体に収納でき、ステップを折りたためば高さ54cm、幅24cm、長さ118.5cmの車輪のついた箱。たった42kgという小学生並みの軽さは、ラダー(積み込み用の板)がなくても大人なら持ち上げられるほど軽い。
さらに燃料やオイル、バッテリーなどの液漏れ防止機構が搭載されるなど、まさに持ち運ぶために生まれてきたバイクだ。
しかしバイクとしての走行性能はお世辞にも良いとは言えず、最高出力2.5馬力の2ストエンジンは非力で、時速は40キロがいいところ。燃料も2.2Lしか入らないので、あまり長くは走れない。
それでも出先でぷらっと買い物したり、ちょっと移動するには充分なものだろう。
勢いがあった時代とはいえ、ここまで奇抜で粋な発想をもった車とバイクのコラボは、それ以来存在しない。
当時イケイケで、4輪と2輪の両方を開発するホンダだからこそできた離れ業だったのである。
今回この素材を活かし最近再燃しはじめたキャンプ用車両として生まれ変わらせていきたい。
【ホンダ・モトコンポ 諸元】
排気量クラス 原動機付自転車
メーカー 本田技研工業(ブランド名:HONDA)
製造国/製造期間 日本/1981年-1985年
車体型式 A-AB12
フレーム バックボーン式
エンジン AB12E型 49cc 空冷2サイクル単気筒
内径x行程 40mm x 39.3mm
圧縮比 7.3:1
最高出力 2.5ps/5,000rpm
最大トルク 0.38kg-m/4,500rpm
潤滑方式 分離潤滑式
始動方式 キック
燃料供給装置 キャブレター (PA12)
変速機 湿式多板シュー
駆動方式 無段変速
サスペンション 前: テレスコピック式 後: ユニットスイング式
ブレーキ 前: 機械式ドラム 後: 機械式ドラム
タイヤサイズ 前: 2.50-8-4PR 後: 2.50-8-4PR
全長x全幅x全高 1,185mm x 535mm x 910mm
折り畳み時 全幅 240mm 全高 540mm
最低地上高 90mm
ホイールベース 830mm
キャスター 25mm
トレール 30mm
車両重量/定員 45kg / 1人
燃料タンク容量 2.2L
燃費 70km/l
本体価格 80,000円(発売当時)
【カラーバリエーション】
ディジーイエロー カリビアンレッド シェットランドホワイト